小2で試合に出れない保護者の悩み。なぜそんなチームが存在するのか?

村松:先日、COFFEE未完に来たお客さまから相談されたことについて話したいです。サッカーチームに入っている小学生2年生の男の子の保護者から相談されました。

保護者「トレーニング用のゴムチューブはどこで売ってますか?子どもにトレーニングさせたいです」
村松「何のために?」
保護者「足を速くさせたいです。あれは足を速くさせるためにやってるんじゃないんですか?」
村松「それもあるかもしれないですけど、大人たちがやってるのは試合のために力を出すというトレーニングです。試合には爆発的な力が必要で、練習でもいきなりやっても怪我する可能性があるので、引っ張ることで一回力を出すことに慣れて、怪我の防止とパフォーマンスの向上に繋げていく。基本的には、足を速くさせるためににはやっていないと思います。」

という話をしました。足が遅くて試合にも出れず、練習でも指導者側もうまい子とそれ以外の子の対応も違う。練習の内容や頻度も少し違うような待遇で、保護者として見かねて助けたくなってしまっているという状況でした。

中西:親がそういう悩みを持つのは、あるあるですか?

村松:地域性もあるかもだけど、この辺りは強いかもしれないです。楽しさを忘れて修行かのように練習するのは、フットサルに向いていないです、コミュニケーションのスポーツだから。

まず指導者から保護者を見る視点で、保護者はチームの活動に入り込むべきではない。チームに任せてください。保護者が家庭でトレーニングすると家庭は休まる場ではなくなります。ただ保護者としては入り込むつもりは基本ないと思います。ただ、チームがあまりにも競争主義だと、助けたくなる気持ちになります。

中西:では、どうしたらいいんだという話になるんですが。

村松:シンプルに良くなってほしいのは、チーム側・クラブ側の体質を変えること。まだ小学2年生ですからみんなが同じ時間試合出て、楽しむということがこの年代では重要です。なぜなら、スポーツの楽しさを知る時期ですし、人間的にまだ小学2年生という段階ですから、そういう競争環境を作ってしまうと選手一人ひとりの人間関係、仲間への思いやりが欠けてしまう、上手いやつが良くて下手な奴がダメという現象が見られる。それより、協力しながらやろうとしている姿の方がこれから素直に育つんだろうなと、その方が楽しい人生になっていきそうだと思います。
2つ目にできることは、違うチームを見たり、違うスポーツを見たりして、楽しめるところが見つかるように親がサポートしてあげれたらいいなと思います。それでもそのチームでやりたいなら、そのチームで続けながら他のスポーツをしたりすることで、足が速くならなくても運動能力にポジティブな影響をもたらして、結果サッカーにも活きてきたりするんじゃないかな。
3つ目として、保護者が子供を助けることをしない。これを一番伝えたいですが、サポートに留める。そういう環境に選手がいたとしても、ヘルプをしてはダメです。

中西:ヘルプとは?

村松:過剰なヘルプで体験の先取りをしてはいけません。サポートというのは、見守っているから体験を奪うものではないです。いつも見守ってくれてるから思い切ってやれるという心理的な支えにもなる。今回で言えば子どもがチューブを引っ張りたいと言ったわけではない。彼がその状況で何を感じて、何を工夫しようとしているのかという機会を潰してしまっている。チューブトレーニングという方法も楽しいものではないし、これによってフットサルとかサッカーをつまらないものにしてしまう可能性がある。練習も見ない方がいいんじゃないですかとも言いました。そういうチームだからこそ余計に、その選手のスポーツライフ、人生を支える一番の人としていてほしい。それが家庭ですよね。

中西:楽しくやらないと、工夫する心が生まれないですよね。そもそも、なぜ上手い選手がたくさん練習できるんですか?

村松:推測すると、ある程度人数がいるんでしょう。環境としては強いチームだから、這い上がってこい、体をでかくしないと始まらない。高校生年代みたいな厳しさを小学生くらいからあてはめてやってしまっているのかもしれない。上手いやつらをもっと上手くさせたい、そうすると結果がついてくる。それで人が入ってくると思っているのかもしれない。何でうまくなるかというと、変な厳しさなんですよね。そこで我慢しながらやっている。

中西:そういうことですね。

村松:ただトレーニングを頑張ったところで自分よがりとなる。そんなスポーツではありません。楽しむことで人と繋がります。やらされていたら心が閉じる方向に向かってしまいます。2年生でうまくなくてもその年代で楽しむことをやって、工夫することが芽生えたり、人と繋がる能力を身に付けたりすることで、考えることができるようになってくる。チームがスポーツの楽しさを消してしまうのはいけません。

相談をくれた保護者も自分のアドバイスを本気で受け取ってくれて、保護者二人とも歯痒そう、すごく辛そうだったのが印象的でした。低学年なら、まず楽しくやったらいいなという文化が広がってほしいと思いました。


村松裕樹
MIKÁNフットサル 代表
オンラインサロン「BARフットサル」
https://bar-futsal.com/

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